マンションの購入をスムーズに進めるためには、いくつかの注意点を抑えておくことが非常に重要です。
今回は、マンションの購入において特に意識すべきポイントである「資金計画」「物件選び」「不動産会社選び」「内見」「契約」という5つの項目について、具体的な注意点を詳しく解説いたします。
資金計画に無理がないか確認
住宅を買う場合、資金計画は大切です。
無理のない予算を立てることが重要です。
また、入居後にお金が足りなくなることを避けるためには、現実的で正確な資金計画を作成する必要があります。
ここでは、資金計画を作る際に留意すべきポイントについて詳しく説明します。
現在の家賃を参考にしすぎない
マンションを購入するために住宅ローンを借りる際には、まず「無理のない返済額はどのくらいか」を計算し、それを元に返済期間や金利を考慮して借入可能な額を確定するのがスムーズです。
この際、注意が必要なのは「現在の家賃を参考にしすぎない」という点です。
家賃は毎月の固定費として安定的に支払われている金額なので、返済額を試算する際には参考になります。
しかし、マンションを購入した後は「管理費・修繕積立金」や「固定資産税」などの費用がかかるため、家賃と同額に設定すると家計が苦しくなる可能性があります。
一般的に、無理のない住宅ローンの月々の返済額は「月収の25%以下」とされています。
つまり、年収から考えれば「48分の1以下」が適切な額となります。
まずはこの数値を基準にして、安定して返済可能な金額を明確にすることが重要です。
諸費用に注意する
資金計画を立てる際に、諸費用にも注意が必要です。
諸費用とは、不動産を購入する際に発生する手数料や税金などの総額のことです。
新築物件の場合、物件価格の3〜6%、中古物件の場合は6〜9%を目安として考えてください。
諸費用は基本的に住宅ローンの対象外なので、頭金なしで購入する場合でも、ある程度の現金を用意する必要があります。
もちろん、諸費用ローンとして借り入れることもできますが、金利が住宅ローンよりも高く、手数料もかかりますので、できるだけ現金で支払うことが望ましいです。
特にマンション購入の場合、取引金額が大きくなるため、諸費用もそれなりの金額になります。
そのため、事前に諸費用を計算し、資金計画を立てることが重要です。
見落としがちなポイントを整理
マンションを探す際に役立つ手段は、インターネットを利用して物件検索することです。
インターネットを活用すると、物件情報を簡単かつ効率的に探すことができます。
実際に、多くの人々が不動産情報ポータルサイトを使用して物件探しを開始しています。
以下では、物件探し時に見逃しがちな注意点について詳しく見ていきましょう。
周辺環境
ネットなどでマンションの情報を閲覧する際、私たちは内装や設備、共用スペースなどに目が行きがちですが、生活の利便性を考えるには周辺環境も非常に重要な要素です。
周辺環境については、以下のポイントに注目すると良いです。
1. 交通の便利さ:公共交通機関や道路のアクセスが良いかどうか。
2. 商業施設や公共施設までの距離:買い物や公共サービスが利用しやすい距離にあるかどうか。
3. 治安:その地域の治安状況や事件・事故の発生頻度について調査する。
4. 学区:子供がいる場合は、近隣に良い学校があるかどうか確認する。
5. 騒音、振動、臭気の有無:近隣に騒音や振動の発生源、または不快な臭いの発生源があるかどうか確認する。
これらのポイントを意識することで、将来の生活の快適さや利便性をより良くすることができます。
築年数(中古の場合)
中古マンションを購入する際には、築年数が非常に重要です。
築年数だけで建物の状態が全て表れるわけではありませんが、一般的には築浅の物件の方が建物や設備が良いことが多いです。
また、築25年を超えると、住宅ローンの控除条件が厳しくなるという影響もあります。
ただし、築25年を過ぎるとマンションの価格が下がる傾向があるため、購入価格を抑えたい場合には有力な選択肢となる可能性もあります。
築年数については、単に浅ければ良いわけではないので、予算やリノベーションの可能性などを総合的に考慮しながら判断しましょう。
災害リスク
鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートで建てられたマンションは、一般的に地震に対して非常に強く、ほとんど倒壊することがありません。
そのため、一戸建てと比べて地震のリスクを見落としてしまうことがよくあります。
しかしながら、マンションであっても、場所によっては洪水などのリスクに注意を払う必要があります。
低層階の部屋を購入する場合はもちろん、高層階を購入する場合でも、もしも浸水が起こった場合、日常生活に多大な影響を及ぼします。
そのため、購入を考える前には、ハザードマップを使用して該当エリアの洪水リスクを確認しておくことが重要です。
不動産会社選びの重要性
新しく建てられたマンションを買う場合、通常はデベロッパーと直接契約するのが一般的です。
なので、購入したい物件が決まっている場合は、特定の窓口を選ぶ必要はありません。
一方、中古のマンションを買う場合は、不動産業者に仲介を頼んで物件を探したり、重要事項説明書や買い手と売り手の間の契約書の準備を手伝ってもらうことが一般的です。
不動産業者を選ぶ際は、得られる情報の量や受けられるサービスの質に大きな差があることもあるので、注意深く選ぶことが重要です。
業者選びの際には、以下のポイントに注目しておくと良いでしょう。
不動産業者を選ぶポイントは以下の通りです。
1. ヒアリングを丁寧にしてくれるかどうか。
2. 判断を急かされることのないか。
3. 予算の範囲を超えるような無理な提案はされないか。
4. ネガティブな情報もしっかりと伝えてくれるか。
5. 事前調査をきちんと行っているか。
これらのポイントは、業者自体だけでなく、担当者のスキルによっても影響を受けます。
もし相性が悪いと感じたり、対応に不満がある場合は、遠慮せずに担当者の変更を要求しましょう。
内見時のチェックポイント
中古マンションは、購入前に物件を直接見て判断することができます。
以下では、物件を確認する際に注意すべきポイントをそれぞれのステージごとに詳しく説明していきます。
中古マンション内見時のチェックポイント
中古のマンションを購入する際には、実際に現地を訪れてから買うかどうかを決める必要があります。
そのため、確認すべきポイントがたくさんあります。
外回りのチェックポイント
建物の外側の壁にひび割れは見当たりませんでしょうか。
もし、ひび割れがある場合は、建物の構造に影響を及ぼす可能性があるため、早急に修理が必要です。
外壁の塗装に問題はありませんでしょうか。
塗装が剥げていたり、変色していたりする場合は、外部からの侵食や気候条件の影響を受ける可能性があります。
塗装の損傷がある場合は、再塗装することが必要です。
階段部分に不具合はありませんでしょうか。
階段の手すりや段の状態を確認してください。
もし、手すりが壊れていたり、段がぐらついていたりする場合は、安全上のリスクがありますので、早急に修繕する必要があります。
建物の周辺は、他の建物の影響を受けていませんでしょうか。
周辺の建物や樹木による日照りの影響を確認してください。
もし、太陽光が遮られている場合、室内の明るさや湿度に影響が出るかもしれません。
また、周囲の建物が風の影響を受けることで、建物自体にも影響が生じる可能性があります。
玄関部分のチェックポイント
ドアが開閉する際に何か問題はないか確認してください。
ドアの施錠は円滑に行えるか確認してください。
ドアを完全に開けた際に、ポーチ灯などに何かぶつかる可能性はないか確認してください。
ドアのストッパーでしっかりと固定することができるか確認してください。
ドアホンや他の取り付け物は問題ないか確認してください。
また、タイルにひび割れなどは見受けられないか確認してください。
居室・廊下部分のチェックポイント
床がきしみや床鳴りを起こしていないかどうか確認してください。
また、敷居や壁との接触部分に隙間ができていないかも確認してください。
フローリングに反りやキズがないかも確認してください。
和室の畳が平らに敷き込まれているかどうかも確認してください。
さらに、クロスが浮いていたり、剥がれていたり、汚れていたりしないかもチェックしてください。
ドアや窓の開閉に問題がないかも確認しましょう。
施錠もしっかり行えるかどうかも確認してください。
網戸の立て付けに問題がないか、また破れていないかも確認しましょう。
カーテンレールもしっかり付いているかも確認してください。
建具などに不具合が生じていないかも確認しましょう。
収納部分の棚板やビスに欠損がないかも確認してください。
水回りのチェックポイント
キッチン、洗面台、便器などの設備は、床と正しく水平または垂直に取り付けられているかを確認してください。
また、換気扇も問題なく動作しているかを確認してください。
そして、給湯器が正常に作動しているかも確認してください。
また、排水管に水漏れがないかも確認してください。
浴室では、タイルが水平に正しく貼られているかを確認してください。
また、目地の状態も確認しましょう。
さらに、オプションとして追加した設備機器はきちんと取り付けられ、問題なく動作しているかも確認してください。
その他の部分のチェックポイント
室内の清掃は行き届いているかどうか、ご確認いただけますか。
また、給水管には断熱材が巻かれているかどうかもご確認ください。
バルコニーの床部分にひび割れが生じていないかも、お調べいただけますか。
手すりの塗装もしっかり行われているかどうかをご確認ください。
エアコンの室外機の位置に問題はありませんか。
最後に、共用部分(駐車場・宅配ロッカー・ゴミ置き場・ポストなど)にも問題はないか、ご確認いただけますか。
よろしくお願いいたします。
トラブル予防のためにチェックすべきポイント
トラブルを回避するためには、内覧時に不動産会社の担当者に以下の点について確認しておくことが安心です。
1. 以前に住人間や騒音に関するトラブルはありませんでしたか? 過去に住人同士のトラブルや騒音問題が起きていないか確認してください。
2. ペット飼育やその他のマナー違反はなかったですか? ペットの飼育やその他のマナーに関するトラブルは起こっていないか、確認しておいてください。
3. 水漏れなどの問題はありませんでしたか? 水漏れやその他の建物の問題に関して紛争があったかどうかも確認してください。
4. 管理費や修繕積立金の未払いはありませんか? 管理費や修繕積立金の未払いがあるかどうかも確認してください。
5. 空き家率や賃貸率は上がっていませんか? 空き家率や賃貸率が上昇しているかどうかも確認してください。
6. 建て替えの検討はされていませんか? 建物の建て替えが検討されているかどうかも確認してください。
契約から引き渡しまでの流れ
マンションを購入する際には、物件選びだけではなく、売買契約から引き渡しまでの手続きにも注意を払う必要があります。
これにより、失敗を避けることができます。
重要事項説明書は隅々までチェックする
不動産の売買契約を結ぶ前には、必ず宅地建物取引士による「重要事項説明」が行われます。
重要事項とは、契約に関わる非常に重要な事柄であり、マンションの場合には「物件の状態」「取引条件」「管理費、共益費などの扱い方」「専有部分と共用部分のルール」などが含まれます。
国土交通省の調査によれば、不動産取引において問題や紛争が起きた場合、その多くは重要事項の説明に関連しているとされています。
売買契約に署名・押印をすると、重要事項説明書の内容についてもすべて確認・了解したものと見なされるため、書いてある内容は必ず細部まで確認しましょう。
もしお手元に重要事項説明書があれば、実際に説明を受ける前に内容を確認することもできます。
当日になって初めて確認しようとすると、見逃しや見落としのリスクが高くなってしまうため、事前にチェックすることをおすすめします。
売買契約の締結時には手付金が必要
物件を購入する際には、売主に対して「手付金」と呼ばれる金額を支払わなければなりません。
手付金は、契約の信頼性を確保するために重要な役割を果たしているため、通常は物件の価格の5~10%程度という高額な額となります。
しかし、手付金を支払うタイミングには注意が必要です。
つまり、住宅ローンの融資が承認される前に支払わなければならないのです。
もし契約が順調に進めば、手付金は最終的に返金されたり、購入代金の一部に組み込まれたりすることが可能です。
ただし、契約時には現金で手付金を準備しなければなりません。
そのため、手付金を支払うことができるように、一定の自己資金を事前に確保しておくことが重要です。
残金決済までに住宅ローン手続きを済ませる
住宅ローンを利用する際には、まず売買契約を結びます。
売買契約が成立した後、住宅ローンの本審査が行われます。
その後、引き渡し日には、手付金などを差し引いた購入代金の決済が行われる必要があります。
したがって、売買契約日から引き渡し日までの期間には、住宅ローンの本審査から融資実行までのすべての手続きを完了させる必要があります。
引き渡し日には、他にもさまざまな手続きが必要なため、不動産会社の担当者と協力して、一つずつ確実に完了させましょう。
まとめ
住宅ローンを借りる際には、まず無理のない返済額から借入額を逆算しましょう。
自分の収入や家計の負担を考慮して、返済が困難にならない範囲で借り入れ額を決めることが重要です。
また、資金計画を立てる際には、住宅購入にかかる諸費用も忘れずに考慮しましょう。
例えば、住宅ローンの手数料や税金、引っ越し費用など、購入に伴うさまざまな費用が発生します。
これらの費用も十分に見積もり、計画に反映させましょう。
さらに、不動産購入においては、災害リスクや周辺環境にも注意を払うことが重要です。
地震や洪水などの災害のリスクや、騒音や治安の問題など、住む場所の環境も考慮しましょう。
将来にわたって快適に暮らすためには、これらの要素も見逃さずにチェックすることが必要です。
中古マンションを購入する場合には、不動産会社の選び方も重要です。
信頼できる不動産会社を選び、適正な価格で物件を購入することが大切です。
口コミや評価、実績などを参考にして、良い不動産会社を選びましょう。
最後に、売買契約をする際には注意点も把握しておきましょう。
契約書の内容や権利義務、引き渡し時期や条件など、すべて十分に確認し、納得のいく契約を締結しましょう。
むやみに契約を進めるのではなく、事前にしっかりと確認することでトラブルのリスクを低減することができます。