低炭素住宅長期優良住宅|メリット・デメリットや認定基準を解説!

不動産

家を建てる際には、環境への配慮が非常に重要なポイントとなります。

住宅が省エネルギー性に優れていれば、様々なメリットがありますし、金銭的にも優遇される場合があります。

ここでは、「認定低炭素住宅」に関して、具体的な認定基準やメリット、そして「長期優良住宅」との違いについて詳しく説明します。

認定低炭素住宅とは?

二酸化炭素の排出を減らすために導入された仕組みがある住宅を低炭素住宅と呼びます。

その中でも、行政機関(都道府県や市区など)が特定の基準を満たしていると認めた住宅は、認定低炭素住宅として扱われます。

認定低炭素住宅の制度は、「低炭素建築物認定制度」と呼ばれ、2012年に制定された「都市の低炭素化の促進に関する法律」(エコまち法)に基づいて作られました。

低炭素住宅が認定されれば、所有者はさまざまな特典を受けることができます。

低炭素住宅に認定されるメリット

定低炭素住宅は、環境に配慮した住宅のことであり、以下の6つの点でメリットがあります。

地域型住宅グリーン化事業による補助金

地域型住宅グリーン化事業は、木造住宅の新築や改修を行う際に、省エネルギー性や耐久性に優れた要件を満たすことで、補助金が支給される制度です。

2022年度では、認定された低炭素住宅であれば最大で70万円、また、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの他の基準も満たすと最大で90万円の補助金を受けることができます。

ただし、補助金を利用するには、指定された施工事業者に施工を依頼する必要がありますので、事前に適用事業者かどうかを確認しておくことが大切です。

容積率の緩和

容積率は、土地に建物が占める割合を示す指標です。

具体的には、建物の延床面積を土地の面積で割ったものとして計算されます。

容積率が大きいほど、土地に対して広い建物を建てることができます。

そのため、家が広くなる可能性も高まります。

低炭素住宅では、環境に配慮した低炭素化を促進するための施策として、特別なルールが設けられています。

このルールでは、低炭素化に必要な設備などは容積率の計算には含まれません。

つまり、同じ条件下であれば、一般的な住宅よりも少し広い住宅を建てることができるのです。

これは、低炭素住宅の特徴の一つと言えます。

住宅ローン金利の優遇

いくつかの住宅ローン商品では、低炭素住宅の認定を受けることで、一般的な条件よりも低い金利で利用することができる場合があります。

例えば、フラット35Sの金利Aプランでは、借り入れ開始から10年間は通常よりも0.25%低い金利でローンを利用することができます。

この特典は10年間もの長期間にわたって適用されるため、総合的に見れば、借入額や返済期間といった条件によっては、数十万円から数百万円にも相当する節約ができることがあります。

結果として、よりお得に住宅ローンを利用することができるのです。

税金の優遇

認定低炭素住宅は、様々な税制の特典を受けることができます。

その中の1つが「住宅ローン控除」という制度です。

この制度では、一定の条件を満たすと、年末における住宅ローンの残高の0.7%を所得税と住民税から控除することができます。

認定低炭素住宅では、一般の住宅と比べて借入限度額が広がり、最大で5,000万円までが住宅ローン控除の対象となります。

つまり、この特典を利用することで、認定低炭素住宅により高額な住宅ローンを組むことができるのです。

もう1つの特例は、「登録免許税」に関する特典です。

登録免許税は、登記手続きを行う際にかかる税金であり、登記の種類によって税率が決まります。

しかし、認定低炭素住宅の場合は、登記手続きにかかる税率が軽減される特典があります。

これらの特典を利用することで、認定低炭素住宅の購入や建築において、より経済的な恩恵を受けることができます。

それにより、低炭素な暮らしを実現するための負担を軽減することができるのです。

光熱費の削減

低炭素住宅は、高いエネルギー効率と優れた省エネ性を持っています。

このような家では、通常よりも冷暖房の使用を控えることができます。

その結果、光熱費を抑えることができるのが魅力です。

また、低炭素住宅の認定基準の中には、選択できる項目がありますが、その中で「節水対策」を選ぶと、水道代も節約できると期待されています。

快適な住環境

低炭素住宅とは、環境にやさしい住宅のことを指します。

このような住宅は、断熱性と気密性に優れているため、省エネ性能が非常に高いです。

つまり、冷暖房をする際に大量のエネルギーを使用せずに、快適な居住環境を保つことができるのです。

具体的には、断熱性とは、外部からの気温変化や風の影響を室内に対して最小限に抑えることを意味します。

低炭素住宅は、優れた断熱材を壁や屋根、床に使用しているため、外気温の変化に敏感になりません。

その結果、夏は室内が涼しく、冬は室内が暖かい状態を維持することができます。

また、気密性とは、室内から外部への気密性を高めることを指します。

つまり、室内の空気が外部に逃げ出したり、外部の空気が室内に侵入したりすることを防ぐことができます。

この気密性の高さにより、室内の快適な温度を保つためにエアコンや暖房器具を使用する際に、その効率が良くなります。

結果として、高い省エネ性能が実現できるのです。

低炭素住宅の最大のメリットは、快適な居住環境を提供することです。

外気の変化によって室内の温度が大きく変動することがありませんので、年間を通して過ごしやすい空間を提供できます。

また、省エネ性能によって、電力やガスの消費量を抑えることができます。

これは、家計にも地球環境にも優しい効果をもたらすのです。

低炭素住宅の認定は、環境に配慮した住宅を設計・建築するためのガイドラインに基づいて行われます。

省エネ性能が高く、断熱性と気密性に優れた住宅は認定を受けることができます。

この認定を受けた住宅は、省エネや快適性の面で高い評価を受けることができます。

低炭素住宅の認定基準

低炭素住宅の認定を受けるためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。

まず、住宅の性能に関する基準があります。

これには、省エネルギー性能が高く、低炭素化を促進するための対策が取られていることが求められます。

具体的には、定められた省エネルギー基準を超える性能を持ち、さらに低炭素化を図るための対策が実施されている必要があります。

次に、都市の低炭素化促進のための基本方針に合致していることも条件となります。

つまり、地域の低炭素化政策や計画に則していることが求められます。

最後に、資金計画が適切であることも重要です。

低炭素住宅の建設や改修には多くの費用がかかるため、しっかりとした資金計画が必要とされます。

十分な資金が確保されているか、資金の使途が適切に計画されているかが認定の条件となります。

なお、住宅性能に関する基準には、「定量的評価項目」と「選択的項目」という2つのカテゴリーが存在します。

定量的評価項目は、数値で評価される項目であり、具体的な性能基準が設けられています。

一方、選択的項目は、さまざまな選択肢から適切なものを選ぶ形式の項目であり、住宅の特性や条件に応じて柔軟に適用することができます。

これらの項目を適切に満たすことも低炭素住宅の認定には必要です。

定量的評価項目

低炭素住宅の認定を受けるためには、特定の基準を満たす必要があります。

この基準は、具体的には「外皮の熱性能」と「一次エネルギー消費量」という2つの要素で評価されます。

まず、「外皮の熱性能」とは、住宅の内部と外部を隔てる部分である外壁や床、屋根、天井、窓、開口部などの性能を指します。

これらの部分は、省エネルギー法で定められる省エネ基準以上の断熱性や気密性を持っている必要があります。

なぜなら、これによりヒートショックや結露などの問題を防ぎ、入居者の健康を考慮することができるからです。

次に、「一次エネルギー消費量」とは、建物の利用に伴う直接的なエネルギーの消費量のことを指します。

この数値が小さいほど、住宅の省エネ効果が高いことを示します。

具体的には、省エネルギー法の基準に比べて少なくとも10%以上の削減が必要です。

これらの評価基準をクリアすることによって、住宅は低炭素住宅として認定され、省エネルギー効果が高いことが証明されます。

これは、環境への負荷を減らすだけでなく、入居者の快適性と健康にも配慮された住宅を実現するための重要なポイントです。

選択的項目

選択的な要件の中では、以下の1~8の項目のうち2つ以上を満たしていることが必要です。

節水対策

1. 節水に役立つ機器を設置しています。

具体的な対応策は以下の通りです。

・半数以上の便器に節水効果のある便器を設置しています。

・半数以上の水栓に節水効果のある水栓を採用しています。

・食器洗い機を設置しています。

2. 雨水、井戸水、または雑排水の利用のための設備を設置しています。

エネルギーマネジメント

3. HEMS(ホームエネルギー・マネジメント・システム)またはBEMS(ビルエネルギー・マネジメント・システム)を設置しています。

4. 再生可能エネルギー(太陽光など)を利用した発電設備と、それに連携する定置型の蓄電池を設置しています。

ヒートアイランド対策

5. 以下のいずれかの対策を実施しています。

・敷地の面積の10%以上が緑地や水面です。

・敷地の面積の10%以上が日射反射率の高い舗装です。

・屋根の面積の20%以上が緑化、または日射反射率の高い屋根材を使用しています。

・外壁の面積の10%以上が壁面緑化しています。

躯体の低炭素化

6. 住宅の劣化を軽減するための対策を行っています。

7. 木造住宅または木造建築物です。

8. 高炉セメントまたはフライアッシュセメントを構造耐力上主要な部分に使用しています。

なお、木造一戸建ての場合は、すでに条件7を満たしているため、条件をクリアすることはそう難しくありません。

長期優良住宅と低炭素住宅の違い

認定低炭素住宅とは、「長期優良住宅制度」という制度と似ていますが、細かい条件や目的が異なります。

長期優良住宅とは、住み続けることによって快適な住環境を長期間維持するために設計された住宅のことで、2006年に住生活基本法に基づいて制定され、2011年に実施が始まりました。

低炭素住宅と比べると、長期優良住宅は総合的な性能に関する要件が要求されるため、認定の基準が多岐にわたります。

具体的には、省エネルギー性に加えて、「劣化対策」、「バリアフリー性」、「耐震性」、「維持管理・更新の容易性」など、住み続けるために必要な機能や性質も条件として認められます。

そのため、認定取得のハードルは低炭素住宅と比べると高くなります。

ただし、どちらの制度も利用できる優遇措置には大きな違いはありません。

ですので、金銭面や光熱費の面でのメリットを重視する場合、低炭素住宅を目指す方が建築コストを抑えることができるので、よりお得だと考えることができます。

低炭素住宅の認定を目指す際のデメリット

これまでにお話ししてきた認定低炭素住宅についての説明の締めくくりとして、認定低炭素住宅を目指す際に留意すべき重要なポイントについて確認してみましょう。

設備の導入コストがかかる

低炭素住宅の認定を目指す場合、外壁や屋根などの外皮性能を高めるとともに、省エネ性の高い間取りや設備を導入する必要があります。

例えば、節水関連設備や太陽光発電などを導入することで、費用は異なりますが、通常の建築プランよりも数十万円から100万円程度高くなる可能性があります。

しかし、長期優良住宅と比較すると、費用を抑えることができる傾向にあります。

そのため、補助金や優遇措置などを上手に活用することで、費用面ではかかるコストをほぼゼロに近づけることも可能です。

また、優れた住環境と光熱費の削減というメリットはそのまま残るため、総合的に考えればお得になると言えます。

具体的な建築費用を抑えるためには、複数の施工会社に建築費の見積もりを出してもらい、実際のコストを比較して検討することが重要です。

いくつかのプランを提案してもらい、コストとメリットを比較することで、より適切な選択ができます。

認定申請ができるのは市街化区域内に建てた場合のみ

通常、問題は起こりにくいですが、低炭素住宅の認定を受けるためには、「市街化区域内」に建てる必要があります。

市街化区域とは、都市計画法に基づいて、「既に市街化されている地域および近い将来に市街化が行われるべき地域」と定義されている場所です。

ほとんどの住宅用地は市街化区域内にあるでしょうが、市街化区域外の土地を購入する場合もあるかもしれませんので、それには注意が必要です。

まとめ

低炭素住宅とは、二酸化炭素の放出を抑制するために、特定のシステムや設備を導入した住宅のことです。

低炭素住宅の認定条件は、3つの項目で構成されています。

住宅性能に関する項目は、さらに「外皮性能」と「一次エネルギー消費量」に分けられています。

低炭素住宅の認定を受けると、多くのメリットがあります。

まず、住宅環境が快適になるだけでなく、光熱費も節約できます。

さらに、各種税金や金利において優遇措置が受けられることもあります。

なお、低炭素住宅の認定基準は、長期優良住宅と比較すると比較的緩いです。

つまり、認定クリアするためのハードルは高くありません。

もし低炭素住宅の認定を目指すのであれば、金銭的なメリットと導入にかかるコストを比較して、慎重に検討することが重要です。

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